12月10日の本会議における梶議員(市民クラブ)の動議提案理由の中にあった、「当局の信用を大きく失墜させる無礼な言葉を用い」(検証1-1の[1])や、12月13日の懲罰特別委員会での懲罰賛成派の議員の意見の中での以下のような表現([1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6])が正しいかどうかを検証します。

引用 [1] ~ [6}

○久保田委員

[中略]
自分の思うような答弁が得られなかったことに対して市長や教育長を誹謗中傷し、侮辱するような発言を繰り返しました。[1]
[後略]

○加藤委員

[中略]
間違った法の解釈で、本会議場の一般質問の場で、一方的な決めつけで教育長や市長を侮辱した言葉を発したこと、[2]
[後略]

○尾藤委員

[中略]
1点目の直前に、「教育長、それは大きな間違いです」との言葉がありましたが、私はその部分が、大変失礼な言葉の使い方との認識で[3]、まさしく懲罰の事由に当たると考えます。
[後略]

○川口委員

[中略]
市長の答弁で示された、教育委員会が責任を持って進めるとの本市の教育行政の政治姿勢を残念な答弁と批判することは、[4] 山下議員の思い込みの認識であり、正しく理解をされていません。
[後略]

○霞委員

[中略]
そうした中で、市長・教育長の答弁を間違いだ、残念だと断じています。これは市長・教育長への侮辱であり、[5] 文部科学省、また沼津市に対する市民の信頼を損ねるものです。
[中略]
市長・教育長の答弁を間違いだ、残念だと断じることで市長・教育長を侮辱し、[6] また、文部科学省の信頼及び沼津市に対する市民の信頼を傷つけるものです。
[後略]

(令和3年12月13日懲罰特別委員会会議録)

これらの「当局の信用を大きく失墜させる無礼な言葉」、「誹謗中傷」、「侮辱」、「失礼な言葉の使い方」、「残念な答弁と批判する」、「市長・教育長への侮辱」という表現の対象となっているのは、12月7日の本会議での山下議員の、教育長に対する「教育長、それは大きな間違いですよ」(検証1-1の[4])と市長に対する「大変残念な答弁ですけど」(検証1-1の[7] )という発言です。

誹謗中傷とは相手に対する根拠のない悪口であり、侮辱とは相手を見下して辱めることです。一般常識から見て、「大きな間違いですよ」という言葉は、根拠のない悪口でも相手を見下して辱める言葉でもなく、自分の信念や考えに基づいた批判の言葉です。 さらに、「大変残念な答弁です」は市長の答弁に対する批判にはなりますが、誹謗中傷や侮辱でもありません。TPOによっては、どちらの表現も失礼な言葉になる可能性もありますが、これらは本会議での質疑の場で発出されたものであり、議論の中でこれらの表現が失礼になることはないはずです。

市長や教育長は、批判が許されないような独裁者でもなく、通常の言葉遣いが許されないような身分の高い人間でもありません。地方自治における二元代表制では、行政の長と議会(議員)は共に住民によって選挙で選ばれた機関であり、役割の違いはあっても対等の立場にあります。両者は共に牽制しあう関係にあり、議会には政策を決定しその執行を監視する役割があります。議会が行政に対して批判的な目を向けるのは当然のことでです。

従って、市長や教育長を批判すること自体には何の問題もなく、「間違いですよ」や「残念な答弁」という発言が無礼や失礼に当たることもないはずです。

さらに、懲罰特別委員会で江本議員が指摘しているように、山下議員のこれらの言葉が、地方自治法や議員必携、沼津市議会会議規則などの規定に違反しているかどうかについては、具体的な説明は何もなく曖昧なままに誹謗中傷などと決めつけて非難しています。 懲罰賛成派の議員の意見(検証2-5)を見ると、教育長、特に市長に対する過度な気遣いや忖度があるようにも思えます。議員という行政を監視する立場ではなく、まるで市長の部下や仲間のようでもあります。また、学校統合廃止の責任が市長にあるとなると市長の立場が悪くなるために、それを避けたいがために市長に対する山下議員の批判を否定しようとしているようにも思えます。結局、山下議員の発言に対する「無礼な言葉」や「誹謗中傷」、「侮辱」などの言葉はすべて、議会の役割を忘れた、市長と教育長に対する過度な忖度からもたらされた単なるこじつけであるとしか考えられません。