懲罰問題の概要

2021年12月10日 市議会定例会:

  • 12月7日の定例会での沼津市教育長や沼津市長との質疑における、山下議員(未来の風)の発言の一部が議会の権威と品位を著しく汚すものであるという理由で山下議員に対する懲罰動議が提出された。この懲罰動議には、市会議員28名のうち副議長を含む22名の市会議員が署名。
  • 教育長に対する「それは大きな間違いですよ」や市長に対する「大変残念な答弁ですけどけ」という発言が当局の信用を大きく失墜させる無礼な言葉とされ、さらに山下議員が自身の法解釈で断定的な発言をしたことなどが議会の権威と品位を著しく汚すものであるという理由で、山下議員に対する懲罰特別委員会の開催が決定された。この懲罰特別委員会のメンバーは、山下議員と同会派の江本議員を除き、委員長と副委員長を含む残り9名すべては懲罰動議の署名者であった。

12月13日 懲罰特別委員会:

  • 懲罰提案理由の説明が省略された結果懲罰動議に対する質疑・討論は行われず、山下議員の弁明に対する質疑もなく、また文科省への聞き取り調査の報告についての審議もなく進められた。江本議員がこれら手順の問題点について幾度となく疑問を呈し不当性を訴えたが、正当な理由は示されずあるいはほとんど無視される形で退けられてしまった。委員会の後半では各委員が意見を述べているが、当然ながら江本議員を除きすべてが懲罰賛成の意見だった。ここでも各意見に対する質疑・討論は行われておらず、何の審議も行われないまま多数決に進んだ。結局、懲罰の妥当性についての審議はほとんど行われずに、懲罰賛成派の議員の賛成多数によって懲罰が決定されてしまった。

12月17日 市議会定例会:

  • 懲罰特別委員会の報告がなされ、山下議員による弁明、また賛成意見が述べられたが、質疑・討論されることもなく山下議員に対する懲罰(戒告)が決定された。

12月23日 公開質問状提出:

  • 市民有志により、山下議員に対する懲罰に関する公開質問状が、市長、市議会議長、教育長に対して提出された。
    この公開質問状に対する回答は、その後全く得られていない。

2022年5月30日 請願書提出:

  • 市民401名および市外からの5名を提出者として、山下議員に対する懲罰と議会発言取り消しの撤回を求める請願書が市議会議長に提出された。

7月29日 請願が不採択となった

山下議員に対する懲罰については、沼津市内外から多くの疑問・反対意見が出されています。沼津朝日新聞では数回に亘ってこの問題を追跡する記事を掲載し、懲罰理由や手続きに関する数々の疑問点投げかけています。また、沼津朝日には市民からの疑問や反対意見の投稿が何回も掲載されました。さらには、静岡県外からもこの問題に対する批判が表明されています。このような多くの批判にもかかわらず、市長や議長に対する公開質問状に対しては何の回答もなく無視されてしまっており、市民からの懲罰撤回の請願は否決されてしまっています。

私たちは、公開されている市議会会議記録や地方自治法などの関連法令、その他の関連資料を精査することによって懲罰理由や懲罰決定までの手続きを詳しく検証し、以下の結論に達しました。

証の結論
  1. 教育長と市長に対する山下議員の発言が無礼な言葉とされているが、その理由付けは山下議員の発言の一部だけを取り出して曲解し、さらには、本来議論の中で何の問題にされるべきではない言葉を、教育長や市長に対する過度の忖度により無礼であるとこじつけたものであって、懲罰の理由としての正当性がない。
    検証ページ
  2. 山下議員が間違った法解釈で断定的に発言したことが問題であるとしているが、関連法令を詳しく見る限り山下議員の法解釈が間違っているのではなく、むしろ懲罰特別委員会での賛成派議員の法解釈に問題があると考えられる。 検証ページ
  3. 山下議員の発言が議会の権威と品位を著しく汚すものであるとしているが、山下議員の発言内容は、議会での議論において最大限に認められるべき発言の自由の範囲内であると考えられ、議会の権威と品位を汚すものでは全くない。むしろ、こじつけの理由で、また民主主義の手順を無視した懲罰特別委員会によって懲罰を決定した市議会の方こそ、議会の権威と品位を汚していると言える。 検証ページ
  4. 懲罰特別委員会によって山下議員に対する懲罰の妥当性が結論付けられたようにされているが、この懲罰特別委員会はメンバー10名のうち9名が懲罰動議に署名した議員であり、公正な審議がされるはずもない最初から不当な委員会である。またその進行手続きも民主主義の手順を無視したものであり、懲罰の妥当性に関する審議はほとんど行われていない。従って、この懲罰特別委員会は山下議員に対する懲罰を決定するためだけの不当なものである。 検証ページ

山下議員に対する不当な懲罰は、議会での自由な議論を封殺するものであり、多数派による少数意見の抑圧そのものです。

土地所有権問題の概要

2022年8月 匿名の手紙

  • 山下議員が市有地を不法占有しているとの匿名の手紙が市議会議員に届けられ、これが市議会議長に報告される。

9月 調査と指導

  • 議長の指示により市道路管理課に不法占有として報告され、その後副議長による現場の撮影、市道路管理課による行政指導が行われる。

9月20日 状況確認、山下議員が使用している別の土地が市有地として登記されていることが判明

  • 道路管理課による状況確認の際に、山下議員が駐車場として使用している土地の一部が市有地として登記されていることが判明。
  • これに関して山下議員夫妻が議長室に呼ばれて質問を受ける。

10月11日 議員全体会議

  • 議長の招集により議員全体会議が開催される。市の担当者は 山下議員個人の問題の情報を出席議員および傍聴人の前で議員からの質問に応じて開示し、また複数の議員が山下議員に対して細かな質問をして追及している。
  • 山下議員は最後に議長から厳重注意を受ける。

12月15日 市が山下議員に対し、駐車場からの利益およそ200万円は不当利得であるとして返還請求を行う。

2023年6月30日 山下議員に対し、市が再度の不当利得返還請求。

9月5日  山下宅において、関連の土地売買契約書、精算内訳メモなどが見つかる。

9月19日  山下議員による情報開示請求の結果、それまで開示されていなかったおよそ200ページの関連文書が開示される。

10月16日 沼津市議会本会議において、山下議員に対する不当利得返還請求の提訴議案が可決される。

10月17日 山下議員に対する提訴は不当であるとして、市民489人から提訴の取り下げと協議による問題解決を求める住民監査請求が提出される。

11月13日 監査委員会が住民監査請求を却下。

これ以降、山下議員を支援する市民グループが結成され、説明会の開催や市長と市議会議長に対しての申し入れを行うなど、支援グループの動きも活発になっています。一方で、沼津市は11月28日に山下議員を提訴しました。それらの支援活動や市の対応については、「不当利得返還請求の問題(土地所有権問題―後半)」のページを参照してください。

個人の問題に関して議長や議会に調査をする権限があるかどうか、また議員全体会議は正当なものであるかどうかを、地方自治法や沼津市議会会議規則などを精査することによって検証し、以下の結論に達しました。

証の結論
  1. 議長は匿名の手紙を根拠に調査の指示および市道路管理課への報告を行っているが、これは山下議員の個人問題であって議長には調査をする権限がない。
  2. 市議会には個人の問題を調査する権限はなく、 議長が招集した議員全体会議は何の法的根拠もない不法なものである。そのような会議を招集した議長の行為は越権行為であり、議会を私物化していると言える。
  3. 傍聴人もいる議員全体会議での山下議員の個人問題の追及は、山下議員のプライバシー侵害であり人権侵害である。
  4. 市道路管理課は議員全体会議において山下議員の個人情報を開示しているが、個人情報保護の観点から問題がある。
  5. 山下議員が駐車場として使用していた登記上の市有地は、山下議員の父親に対して払下げることが確約されていた土地であるが、登記上は市有地のままになっていたものである。その確約書や、発覚からおよそ1年後に発見された土地売買契約書、計算書などを検証すると、植松氏への払下げは実行されたものと考えられ、市による山下議員に対する不当利得返還請求は不当である。

検証ページ

この問題は山下議員と市との間での個人問題であって、それを調査する権限は 議会にも議長にもありません。 それを議会として調査したことは山下議員に対する人権侵害であり、それを主導した議長は議会を私物化していると言えます。

山下議員に対する懲罰問題の検証の結論および土地所有権の問題の検証結果から分かることは、これらの問題は沼津市議会における多数派による少数派・少数意見の抑圧に他ならず、民主主義を蔑ろにする暴挙です。また、行政を監視するという議会本来の役目を放棄した議会の自殺行為です。これは、山下議員に票を投じた市民はもちろんのこと、懲罰に賛成した議員に票を投じた市民、さらには全沼津市民に対する裏切り行為であり、沼津市民として見過ごすことのできない問題です。市議会はこれらの問題を自ら正すべきであり、これらの行為について沼津市民に説明する責任があります。よって、市議会に対して以下の措置を求めます。

市議会への要求
  1. 弁護士、地方政治の専門家、市民などから構成される第三者による検証委員会を設置し、山下議員に対する懲罰の問題を(可能ならば過去の懲罰案件も)検証すること。
  2. 市議会が山下議員に課した懲罰が誤りであることを議決により正式に認めかつ山下議員に謝罪すること。
  3. 会議記録から削除された山下議員の発言を復活させること。
  4. 健全な批判精神をもって行政に対峙できる市議会および民主的な議会運営を実現するために、市議会の運営規則や手順などを見直すこと。