民法には取得時効の規定があり、山下議員の所有権が認められる可能性があります。

民法 (取得時効)

第二節 取得時効

(所有権の取得時効)

第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

(民法)

ただ、この規定がそのまま当てはまるのは私有地の場合であって、公有地の場合には条件が厳しくなるようです。しかし、公有地の場合でも取得時効が認められた判例はいくつもあり、最高裁の判例の1つでは、以下の条件が満たされている場合は取得時効の対象になるとされています。

  • 長年にわたり当該公有地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、
  • 共用財産としての形態,機能を完全に喪失し,
  • その上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したがそのため実際上公の目的が害されるようなこともなく,
  • これを公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合

には黙示的に公用が廃止されたものとして取得時効の対象になる。
(最高裁平成17年12月16日判決)

今回の問題の土地の場合は、およそ30年間にわたって市側も市有地であるとは認識しておらず、また公共の目的に使用することもないままにされており、この最高裁判例の条件を満たしていると考えられます。従って、民法の取得時効の規定により、山下議員に対してこの土地の取得時効が認められる可能性があると考えられます。